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注目度があがる事業継続計画(BCP)!事業継続計画の作成が必要な理由について

 

近年、日本では地震や大雨などの自然災害が頻発しており、これに伴う経済的・社会的なリスクが高まっています。企業がこれらのリスクに対応するための手段として、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)がますます注目されています。この記事では、BCPとは何か、なぜその必要性が高まっているのか、その背景とBCPの作成によるメリット、さらに作成の際の注意点について詳しく解説します。


1. 事業継続計画(BCP)とは?


大雨で都市機能が停止した町

事業継続計画(BCP)は、企業が災害やその他の予測不能な事態に直面した際に、業務を中断させず、迅速に復旧させるための戦略と手順を定めた計画です。具体的には、自然災害(地震や台風、大雨など)、火災、テロ、サイバー攻撃、パンデミックなど、企業の運営に大きな影響を及ぼすリスクを想定し、これに備えて事前に対応策を講じることが目的です。


BCPには以下の要素が含まれます


<リスクの特定>

企業に影響を与える可能性があるリスクを特定し、最も深刻な影響を与える事態に焦点を当てる。


<緊急対応>

事故や災害が発生した際に、迅速に対処できる初動対応を明確にする。

復旧計画:業務を停止させることなく、または迅速に復旧するための手順やリソースを確保する。


<コミュニケーション計画>

従業員や取引先、顧客との円滑なコミュニケーションを維持するための手段を準備する。


これにより、企業は災害が発生しても、損害を最小限に抑え、速やかに日常業務に戻ることが可能になります。


2. なぜ事業継続計画が注目されているのか?

2.1 自然災害の頻発

日本は地震大国として知られており、南海トラフ地震や首都直下型地震といった大規模な地震のリスクが指摘されています。さらに、近年では異常気象による大雨や台風による洪水や土砂災害も頻発しており、企業の業務に大きな影響を与えています。2018年の西日本豪雨や2020年の令和2年7月豪雨などは、広範囲にわたる被害を引き起こし、多くの企業が業務を中断する事態に追い込まれました。


2.2 新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的なパンデミックは、企業が対策を急がれる事態となりました。感染症対策としてのBCPは、リモートワーク体制の整備や感染拡大防止策、サプライチェーンの見直しなど、新たな形での企業の事業継続計画を必要としました。この経験を通じて、企業は予測不可能な事態への迅速な対応の重要性を再認識し、事業継続計画の策定が重要視されるようになっています。


2.3 グローバル化とサプライチェーンリスク

企業が国内外でサプライチェーンを持つ現代において、1つの企業の被害が全体のサプライチェーンに波及するリスクが高まっています。例えば、2021年の半導体不足は、自動車業界をはじめとする多くの産業に大きな影響を与えました。このような事態を踏まえ、サプライチェーン全体のリスク管理が求められており、事業継続計画がその一環として重要視されています。


3. 事業継続計画が必要な理由


社内で事業継続計画について話し合う社員達

3.1 業務の中断による損失を防ぐため

企業が災害や事故に直面した際、最も大きなリスクは業務の中断です。業務が停止することで、製品やサービスの提供ができなくなり、売上が減少するだけでなく、顧客や取引先からの信頼を失う可能性があります。BCPを策定しておくことで、業務の中断を最小限に抑え、速やかに復旧させることができます。


3.2 顧客や取引先との信頼関係を守るため

災害や事故に対する準備が不足している企業は、顧客や取引先からの信頼を失う可能性があります。BCPを策定している企業は、万が一の事態が発生しても迅速かつ確実な対応が期待できるため、取引先や顧客との信頼関係を維持することができます。特にグローバルなビジネス環境では、事業継続の重要性が一層高まっており、企業間取引においてBCPが求められることもあります。


3.3 法的な責任や規制に対応するため

一部の業界や地域では、BCPの策定が法的に義務付けられている場合もあります。例えば、金融業界や重要インフラを支える企業は、事業継続の確保が厳格に求められます。また、自治体や政府機関が推進する防災対策の一環として、企業にBCPの作成を促す動きも強まっています。こうした背景から、BCPの策定は法的な責任を果たすためにも不可欠です。


4. 事業継続計画を作成するメリット

BCPの作成にはさまざまなメリットがあります。以下にその主要なものを挙げます。


4.1 経営リスクの最小化

BCPを策定している企業は、災害や事故が発生しても迅速な対応が可能であり、損害を最小限に抑えることができます。事前にリスクを特定し、対策を講じることで、予期せぬ事態に対する準備が整い、企業の存続可能性が高まります。


4.2 競争優位性の向上

BCPを持つ企業は、同業他社に対して競争優位性を持つことができます。災害や事故が発生した際、迅速に事業を再開できる企業は、競合他社よりも早く市場に戻ることができ、顧客や取引先に信頼される存在となります。


4.3 従業員の安全確保

BCPには、災害時に従業員を安全に避難させるための計画や、緊急時に備えた対応策も含まれています。これにより、従業員の命を守り、安心して働ける環境を提供することができます。従業員が安全に業務を継続できる環境を整えることは、企業の存続にとっても非常に重要です。


5. 事業継続計画を作成する際の注意点

BCPの策定には慎重な計画と実施が必要です。ここでは、BCPを作成する際の注意点をいくつか紹介します。


5.1 リスクの過小評価を避ける

企業が直面するリスクは多岐にわたりますが、リスクを過小評価すると、計画が不十分となり、災害発生時に対応が遅れる可能性があります。可能な限り詳細なリスク評価を行い、適切な対策を講じることが重要です。


5.2 定期的な見直しと訓練

BCPは一度作成して終わりではなく、定期的な見直しと更新が必要です。新たなリスクが発生する可能性や、技術の進歩によって対策が古くなることもあります。また、従業員が計画を理解し、緊急時に対応できるよう、訓練や演習を行うことも不可欠です。


5.3 コミュニケーションの確立

災害時には、迅速かつ正確な情報伝達が求められます。BCPには、緊急時のコミュニケーション手段を明確にし、従業員や取引先、顧客と円滑に情報共有できる仕組みを構築することが必要です。


まとめ

事業継続計画(BCP)は、企業が災害や事故などのリスクに対して迅速に対応し、業務を中断せずに継続するための重要な手段です。自然災害の頻発やパンデミック、サプライチェーンのリスクが高まる中、BCPの重要性は今後ますます増していくでしょう。企業がリスクを最小限に抑え、競争力を維持するためには、BCPの作成とその継続的な見直しが欠かせません。


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リットコンサルティング合同会社代表写真

中小企業診断士
​田村雅紀

地方移住をきっかけに、ブランドCEOから中小企業診断士にキャリアチェンジ。

​広島の中小企業の経営者の悩みを一緒に解決していけるよう、伴走支援を行っています。

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