健康経営とは?健康経営を実施するメリットについて
- 中小企業診断士 田村雅紀
- 2024年9月19日
- 読了時間: 7分
1.はじめに
昨今、「健康経営」という言葉が広く注目を集めています。従業員の健康を企業が積極的にサポートするこの経営戦略は、単なる福利厚生を超えた経営的な意味合いを持ち、企業の成長や持続可能な経営に直結する重要な要素となりつつあります。では、なぜ今、健康経営がこれほど注目されているのでしょうか?この記事では、健康経営とは何か、実施することのメリット、また実施する際の注意点について詳しく解説します。
2.健康経営とは?

「健康経営」とは、従業員の健康を企業の重要な経営資源と位置づけ、従業員の健康管理を企業の責任として取り組む経営方針を指します。これは、従業員の健康増進や予防医療を推進し、職場の労働環境を改善することで、企業全体のパフォーマンス向上を図るものです。
経済産業省が推進している「健康経営優良法人認定制度」などにより、企業の健康経営の取り組みが評価される機会も増えており、実際にその取り組みをアピールすることで、対外的な評価を高める企業も増加しています。
3.健康経営が注目されるようになった背景
健康経営が注目されるようになった背景には、いくつかの社会的、経済的要因があります。
3-1. 少子高齢化による労働力不足

日本では少子高齢化が進行しており、労働力の確保が難しくなっています。企業は、限られた人材をいかに長く、効率的に働かせるかが重要な課題となっており、従業員の健康管理が経営にとって極めて重要な要素となっています。健康な従業員を持続的に働かせることは、生産性向上と人材確保の両面でプラスの効果をもたらします。
3-2. 働き方改革の影響
働き方改革により、長時間労働の是正やワークライフバランスの向上が求められるようになり、労働環境の改善が一層重視されています。従業員の健康を維持することが、労働時間の短縮と効率的な働き方に直結することから、健康経営への注目が高まっています。
3-3. メンタルヘルスの重要性
現代のビジネス環境では、ストレスや過労によるメンタルヘルスの問題が深刻化しています。従業員のメンタルヘルスケアを行うことは、離職率の低下や労働災害の防止につながり、企業にとって欠かせない課題となっています。健康経営の取り組みは、これらのメンタルヘルス対策にも効果的です。
3-4. ESG経営との連動
企業が社会的な責任を果たすべきという「ESG経営」(環境、社会、ガバナンス)が求められる中で、健康経営もその一環として位置づけられています。従業員の健康を大切にすることは、社会貢献として企業の評価を高め、持続可能な経営を実現するための要素とも言えます。
4.健康経営を実施するメリット
健康経営を導入することには、企業と従業員双方にさまざまなメリットがあります。具体的には以下の点が挙げられます。
4-1. 生産性の向上
従業員の健康状態が向上することで、欠勤や休職が減少し、業務効率が高まります。健康であることが従業員のモチベーションや集中力を高め、日常業務におけるパフォーマンスを向上させます。これにより、全体として生産性の向上が期待でき、企業の競争力強化につながります。
4-2. 離職率の低下と採用力の強化
従業員の健康管理に積極的な企業は、従業員に対して働きやすい環境を提供しているという印象を与えます。これにより、従業員の満足度が向上し、離職率が低下します。また、健康経営を実践する企業は、採用活動においても「働きやすい企業」としての魅力を高め、優秀な人材の確保が容易になります。
4-3. 企業イメージの向上
健康経営を実践することは、社内外に対して「従業員を大切にする企業」としてのイメージを向上させます。これは、顧客や取引先からの信頼を得るためにも重要であり、結果としてビジネスチャンスの拡大につながることが期待されます。
4-4. 健康経営優良法人の認定による社会的信用の向上
経済産業省が推進する「健康経営優良法人」の認定を受けることで、企業はその取り組みを社会にアピールでき、対外的な信用を高めることができます。特に、取引先や顧客に対する企業価値の向上に寄与します。
4-5. 医療費や労災コストの削減
従業員の健康を維持することで、病気やケガによる医療費や労災関連のコストを削減できます。予防医療や健康促進の取り組みによって、慢性的な病気や過労死を防ぐことができ、長期的にはコスト削減につながるのです。
5.健康経営を実施する際の注意点

健康経営を実施するにあたっては、いくつかの注意点があります。効果的に進めるためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
5-1. 従業員のニーズに合わせた取り組みを行う
健康経営を実施する際には、従業員一人ひとりのニーズを正確に把握し、それに応じた対策を講じる必要があります。単に全員に同じ健康施策を押し付けるのではなく、個別の健康状態やライフスタイルに応じた柔軟な施策を提供することが大切です。
5-2. 長期的な視点で取り組む
健康経営の効果は一朝一夕には現れません。健康促進や労働環境の改善は長期的な取り組みが必要であり、継続的に改善策を実行し、結果を検証していく姿勢が求められます。
5-3. 経営層のリーダーシップが重要
健康経営を成功させるためには、経営層のリーダーシップが不可欠です。経営層が従業員の健康を重視し、積極的に取り組む姿勢を示すことで、全社的な意識改革が進み、実効性のある施策を実現できます。
5-4. コミュニケーションの促進
健康経営を進める中で、従業員とのコミュニケーションを強化することが重要です。従業員が自分の健康状態について相談できる環境を整え、健康施策に対するフィードバックを取り入れることで、より効果的な健康経営を実現できます。
6.健康経営の成功事例
多くの企業が健康経営を導入し、成功を収めています。例えば、大手企業では社内に健康管理チームを設け、定期的な健康診断やメンタルヘルスのカウンセリングを提供することで、従業員の健康を総合的にサポートしています。また、運動や栄養管理のプログラムを導入し、業務効率の向上や社員の満足度向上に寄与しています。
7.コンサルティング会社としてできること
健康経営を実施する際、どのような取り組みをすればよいか、どのような課題があるかは、企業ごとに異なります。そのため、外部の専門家と連携し、最適な施策を導入することが成功の鍵となります。当社では、健康経営に関するコンサルティングサービスを提供しており、企業のニーズに合わせたオーダーメイドの施策を提案しています。
当社のコンサルティングサービスでは、以下の内容を提供しています。
・健康経営の現状分析と課題抽出
・効果的な健康経営プランの設計
・健康診断データの分析と改善策の提案
・メンタルヘルスケアの導入支援
・健康経営優良法人認定に向けたサポート
健康経営を実施することで、企業全体のパフォーマンスを向上させ、持続可能な経営を実現するための支援を行っています。ぜひ、当社のサービスをご利用いただき、健康経営の成功に向けた一歩を踏み出してください。
まとめ
健康経営は、従業員の健康を守りながら企業の競争力を高めるための重要な経営戦略です。生産性の向上や企業イメージの向上、離職率の低下など、多くのメリットをもたらしますが、効果を上げるためには長期的な視点と従業員とのコミュニケーションが欠かせません。
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