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パートナーシップ構築宣言とは?制度の活用方法とメリットについて

 

1. はじめに


ビスネスパートナーと打合せを行う経営者

現代のビジネス環境において、企業が生き残り、成長を続けるためには、単に売上を伸ばすだけではなく、様々な関係者との協力関係を築くことが不可欠です。その中でも、中小企業と大企業、あるいは取引先やサプライチェーンに関わるパートナーシップの強化が重要視されています。これを推進するために政府が導入した制度が「パートナーシップ構築宣言」です。


この記事では、パートナーシップ構築宣言とはどのような制度なのか、宣言することで得られるメリットや活用方法、制度の対象企業や宣言の具体的な手順について詳しく解説します。


2. パートナーシップ構築宣言とは?

パートナーシップ構築宣言とは、大企業と中小企業、あるいはサプライチェーンに関わる取引先同士が、共に利益を追求し、持続可能な関係を構築することを目的とした政府主導の制度です。この制度は、特に中小企業に対する取引条件の改善や、健全な取引関係の維持、さらには技術革新を促進するための取り組みを支援します。


具体的には、企業が「パートナーシップ構築宣言」を行うことで、自らの取引先に対して公正かつ透明なビジネスの実施を約束し、その宣言内容を公開することによって、信頼性を高めるというものです。これは、特に大企業が中小企業と対等な立場で協力し、共に成長していくための新たな枠組みを作るものとして注目されています。


3. パートナーシップ構築宣言の背景

この制度が誕生した背景には、経済のグローバル化やデジタル化の進展に伴い、企業間の取引構造が複雑化し、中小企業が取引先の大企業からの影響を大きく受けることが多くなってきた点が挙げられます。大企業による価格引き下げ要求や納期短縮といった要請が中小企業に負担を強いるケースが増えたため、これを改善するための取り組みが求められてきました。


また、新型コロナウイルスの影響により、企業の経済活動においてサプライチェーンの脆弱性が浮き彫りになったことも、パートナーシップ構築宣言の普及を後押しする要因となっています。安定した取引関係を築くことは、パンデミックや自然災害といった予期せぬ外的要因にも対応できる体制を整えるために重要です。


4. パートナーシップ構築宣言のメリット


公正な取引で契約を結ぶ経営者

パートナーシップ構築宣言を行うことには、企業にとってさまざまなメリットがあります。以下にその代表的なメリットを解説します。


4.1 信頼性とブランドイメージの向上

企業がパートナーシップ構築宣言を行うことで、ビジネスパートナーや顧客に対して「公正かつ透明な取引を行っている企業」であることを示すことができます。特に中小企業にとっては、大企業との取引を持続的に発展させるための信頼関係を築く大きな武器となります。また、この宣言を通じて社会的責任(CSR)の一環としての取り組みをアピールできるため、企業のブランドイメージの向上にもつながります。


4.2 公正な取引条件の確保

パートナーシップ構築宣言に参加することで、取引条件の改善が期待できます。特に大企業側が中小企業に対して不公平な条件を押し付けることを防止する取り組みが進められており、取引の透明性が確保されます。これにより、中小企業が安定的に事業を続けられるようになり、双方にとって利益となるウィンウィンの関係を築くことができます。


4.3 イノベーションの促進

パートナーシップを通じて、大企業と中小企業が互いに知識や技術を共有し、新しい製品やサービスの開発に取り組むことができます。特にデジタルトランスフォーメーション(DX)や新技術の導入においては、パートナー企業同士が協力することで、単独では達成できない成果を上げることが可能です。このようなイノベーションの促進は、企業の競争力を高める要因となります。


4.4 サプライチェーンの強化

新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がサプライチェーンの脆弱性に直面しました。パートナーシップ構築宣言は、安定した取引関係を築くための手段としても有効です。取引先と緊密な連携を図ることで、供給網の強化やリスク管理が容易になり、予期せぬトラブルにも柔軟に対応できる体制が整います。


4.5 補助金・助成金の加点対象

パートナーシップ構築宣言を行う企業は、各種補助金や助成金の申請時に加点対象となる場合があります。例えば、経済産業省が提供する「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」など、多くの支援制度で加点されるため、資金調達の面でも有利になります。これにより、企業が新たな設備投資や事業拡大を行う際の支援が得やすくなります。



5. 対象企業と宣言の手順

次に、パートナーシップ構築宣言の対象企業や、実際に宣言を行うための手順について解説します。


5.1 制度の対象企業

パートナーシップ構築宣言は、大企業だけでなく、中小企業も対象としています。特に、サプライチェーンに関わる企業や取引先との連携が求められる業種では、この制度の活用が推奨されています。


具体的には、製造業や建設業、情報通信業などの業種が主な対象となりますが、サービス業や小売業など、取引先との関係性が重要となる全ての業種が対象となり得ます。また、地域に根ざした中小企業やベンチャー企業が大企業と協力する際にも、この制度は有効です。


5.2 宣言の手順

パートナーシップ構築宣言を行うための手順は、以下の通りです。


宣言内容の検討

まず、企業内でパートナーシップ構築に関する具体的な方針や取り組みを策定します。これには、取引先やサプライチェーンの関係者との協力体制をどのように強化するか、取引条件の改善をどのように進めるかなどが含まれます。


ウェブサイトでの登録

宣言内容が決まったら、パートナーシップ構築宣言の専用ウェブサイトにアクセスし、必要な情報を入力して登録を行います。登録手続きは簡便で、特別な費用もかかりません。


宣言の公表

宣言内容が承認されると、企業のパートナーシップ構築宣言が公表されます。この宣言内容は、一般に公開されるため、取引先や顧客にも閲覧されることになります。


定期的な見直し

宣言内容は、定期的に見直しを行うことが求められます。状況に応じて方針を修正し、常に最新の取り組みを反映させることが重要です。


6. まとめ

パートナーシップ構築宣言は、企業間の協力関係を強化し、公正で透明な取引を実現するための重要な制度です。大企業と中小企業、あるいは取引先同士が共に成長していくための枠組みを提供し、取引条件の改善やイノベーションの促進、サプライチェーンの強化といった多くのメリットがあります。


制度を活用することで、企業は信頼性を高め、持続可能なビジネスモデルを構築することができます。パートナーシップ構築宣言を通じて、今後ますます競争が激化する市場において、企業が共に繁栄する道を切り開くことが期待されます。



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リットコンサルティング合同会社代表写真

中小企業診断士
​田村雅紀

地方移住をきっかけに、ブランドCEOから中小企業診断士にキャリアチェンジ。

​広島の中小企業の経営者の悩みを一緒に解決していけるよう、伴走支援を行っています。

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